「アレルギーの薬を飲むと、眠くなるってホント?」
「私は、アレロックを飲むと眠くなっちゃう…。」
「抗ヒスタミン薬の中で、眠気が出ないものを知りたい。」
など、色々と知りたいことがあると思います。
今回の記事では、アレルギーの薬の眠気の副作用のデータを色々な角度からまとめてみました。
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眠気の出現率の表
各メーカーの薬の説明書より抜粋
上記のグラフは、薬を服用して実際に眠気の出た人の割合をまとめたものです。
薬のメーカーが公表している資料を元に自ら作成しました。
実際に数字で表現してみると…。
薬品名 | 眠気の 割合 | 眠気が 出た人 の数 | 薬を 飲んだ 人数 |
---|---|---|---|
アゼプチン | 1.82% | 261 | 14365 |
アレグラ | 2.3% | 158 | 6809 |
アレジオン | 1.2% | 102 | 8443 |
アレロック | 7.0% | 674 | 9620 |
エバステル | 1.75% | 146 | 8349 |
クラリチン | 0.7% | 52 | 7049 |
ザイザル | 5.2% | 67 | 1292 |
ザジテン | 4.4% | 932 | 21170 |
ジルテック | 2.6% | 149 | 5759 |
ゼスラン | 2.17% | 654 | 30168 |
セルテクト | 4.8% | 394 | 8188 |
タリオン | 1.3% | 59 | 4453 |
デザレックス | 1.0% | 5 | 505 |
ビラノア | 0.6% | 4 | 675 |
ポララミン | 6.21% | 11 | 177 |
レスタミン | 34.76% | 519 | 1493 |
レスタミン(ジフェンヒドラミン塩酸塩)が、眠気の出た人の割合が特出して高いです。
他の抗ヒスタミン薬は、眠気の副作用が出た人の割合は、おおむね10%未満になっています。
しかし、実際に眠気までは出なくても神経活動が低下して、ぼーっとする時間が長くなるなど、日常生活に影響が出ている場合も考えられます。
この表は薬を飲んだ人の母集団が異なるため、一概に比較することが出来ないと思います。
あくまで、目安として下さい。
特にポララミンなどは、全数が177人と非常に少なく症例を多くすれば結果が異なってくる可能性を秘めています。
ヒスタミンと眠気の関係
人の体の中で、ヒスタミンという名前のホルモンは、色々な活動をします。
- 脳の神経の活動に関わる。
- アレルギーの反応に関わる。
- 血管拡張に関わる。
ヒスタミンの働きが過剰になりすぎると、アレルギー反応として鼻水やかゆみが出ます。
そのヒスタミンの働きを抑える薬を抗ヒスタミン薬といい、アレルギーの薬で代表的なものになります。
しかし、その働きが脳内で強くなりすぎると、神経の伝達が悪くなり、活動能力の低下や眠気といった身体的変化が表れることがあります。
ヒスタミンで眠気の出るメカニズム
1.抗ヒスタミン薬が、血流にのって脳に運ばれる。
2.抗ヒスタミン薬が、脳内のヒスタミン1型受容体をブロックする。
3.ヒスタミンが、ヒスタミン1型受容体に結合できない。
4.神経の活動が低下してしまい。活動能力低下や眠気の発現。
すべての薬が脳に運ばれる訳ではありません。
脳に移行する物質は、血液脳関門という関所を超えなければ、脳内に入ることができません。
血液脳関門については、血液脳関門は、神経細胞を守る門番。の記事で詳しく説明しています。
脳内ヒスタミン受容体占有率の表
以下の参考文献より改変して作成
1.Pharmacol Ther.113(1):1-15,(2007) 2.Expert Opin Drug Saf.10:613-22,(2011) 3.Expert Opin Drug Saf.14:199-206,(2015)
上記の表は、抗ヒスタミン薬が脳の中に移行して、どのくらいヒスタミン受容体をブロックしてしまうのかを表したものです。
一番上に表示されているザジテンが70%以上と多い割合で受容体をブロックしています。
一番下に表示されているアレグラは、5%以下で少ない割合で受容体をブロックしています。
ヒスタミン受容体がブロックされてしまうと、神経の活動が低下してしまうため、眠気等の副作用につながりやすいとされています。
ヒスタミン受容体をブロックする割合で、3つのグループに分けることができます。
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抗ヒスタミン薬の鎮静性のグループ分けの表
日本皮膚科学会のページを参考に、表を編集してみました。
鎮静性の抗ヒスタミン薬
ヒスタミン受容体をブロックする割合が、およそ50%以上であれば鎮静性の抗ヒスタミン薬に分類されます。
具体的な薬品名をあげると…
- ザジテン(ケトチフェンフマル酸塩)
- レスタミン、ベナ(ジフェンヒドラミン塩酸塩)
- セルテクト(オキサトミド)
- ポララミン、ネオマレルミンTR(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)
になります。
軽度鎮静性の抗ヒスタミン薬
ヒスタミン受容体をブロックする割合が、およそ20%以上~50%未満であれば軽度鎮静性の抗ヒスタミン薬に分類されます。
具体的な薬品名をあげると…
- ゼスラン、ニポラジン(メキタジン)
- アゼプチン(アゼラスチン塩酸塩)
になります。
非鎮静性の抗ヒスタミン薬
ヒスタミン受容体をブロックする割合が、およそ20%未満であれば非鎮静性の抗ヒスタミン薬に分類されます。
具体的な薬品名をあげると…
- タリオン(ベポタスチンベシル酸塩)
- アレロック(オロパタジン塩酸塩)
- ジルテック(セチリジン塩酸塩)
- クラリチン(ロラタジン)
- エバステル(エバスチン)
- ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)
- アレジオン(エピナスチン塩酸塩)
- アレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)
になります。
まとめ
- 抗ヒスタミン薬が、脳内のヒスタミン受容体をブロックすることで眠気が起こる。
- 鎮静性の抗ヒスタミン薬は、脳内のヒスタミン受容体を50%以上ブロックする。
- 実際に眠気が出た人の割合と、脳内のヒスタミン受容体占有率との関連性は低い。
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