「抗生物質とお酒って一緒に飲んで大丈夫なの?」
「もし間違えて一緒に飲んだら、どういう症状が出る?」
「抗生物質とアルコールを一緒に飲んで大丈夫な薬を知りたい。」
などの疑問をお持ちではありませんか?
抗生物質とお酒は、相互作用があるものもあるので、知らないままだと怖いですよね。
今回は、抗生物質とお酒の飲み合わせについてまとめてみました。
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抗生物質とアルコール摂取の一覧表
成分名 | 商品名 | アルコール併用注意 |
---|---|---|
ペニシリン系 | ||
アモキシシリン | サワシリン、パセトシン | 記載なし |
スルタミシリン | ユナシン | 記載なし |
アモキシシリン
+ クラブラン酸カリウム |
オーグメンチン、クラバモックス | 記載なし |
セフェム系 | ||
セフカペンピボキシル | フロモックス | 記載なし |
セフジトレンピボキシル | メイアクト | 記載なし |
セフジニル | セフゾン | 記載なし |
セフメタゾール | セフメタゾン | × |
セフォペラゾン | セフォペラジン、セフォビッド | × |
セフメノキシム | ベストコール | × |
ラタモキセフ | シオマリン | × |
マクロライド系 | ||
クラリスロマイシン | クラリス、クラリシッド | 記載なし |
エリスロマイシン | エリスロシン | 記載なし |
アジスロマイシン | ジスロマック | 記載なし |
テトラサイクリン系 | ||
ミノサイクリン | ミノマイシン | 記載なし |
ドキシサイクリン | ビブラマイシン | 記載なし |
ニューキノロン系 | ||
トスフロキサシン | オゼックス、トスキサシン | 記載なし |
レボフロキサシン | クラビット | 記載なし |
ガレノキサシン | ジェニナック | 記載なし |
シタフロキサシン | グレースビット | 記載なし |
抗原虫薬、抗菌薬 | ||
メトロニダゾール | フラジール | × |
アルコール摂取注意の判断は、薬の添付文書に書いてあるかどうかで、私が全て目視で行いました。 なお、添付文章とは薬の情報の公式文章のことです。
【関連記事】薬の添付文章とは、ただの資料ではなくて、医療のプロ御用達の情報源だった。
『×』と記載があるセフメタゾンを見てみると…
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)1. 薬剤名等
アルコール
臨床症状・措置方法
飲酒により、ジスルフィラム様作用(顔面潮紅、心悸亢進、めまい、頭痛、嘔気等)があらわれることがある。[投与期間中及び投与後少なくとも1週間は飲酒を避けさせること。]
機序・危険因子
明らかではないが、3位側鎖のN-メチルチオテトラゾール基がジスルフィラム様作用を有すると考えられている。
セフメタゾンの添付文章より
となり、抗生物質とお酒を一緒に飲むとなんらかの体調変化が起こることが示唆されています。ジスルフィラム様作用については、次の項目で詳しく説明します。
セフェム系の薬でも、相互作用の欄に
- アルコールと一緒に摂取することを注意するもの(例 セフメタゾン)
- アルコールの摂取には記載がないもの(例 フロモックス)
に分かれました。
一概にセフェム系だからダメと言うわけではないようです。
あと、抗生物質といっていいかわからないのですが、その仲間の薬のメトロニダゾール(商品名:フラジール)にもアルコール摂取の注意がありました。
フラジールは、もともと抗原虫薬として販売されており、膣トリコモナスの治療などに使われてきました。しかし、最近は抗菌作用があることが発見されて、ピロリ菌二次除菌の際に抗菌作用を期待して使われることも増えてきました。
抗生物質とお酒を一緒に飲むと、どんな症状が出る?
お酒と一緒に飲むと現れる症状には、添付文書に記載があるジスルフィラム様作用と添付文書に記載が無いけども実際に起こる体調不良があります。
ジスルフィラム様作用とは?
セフメタゾンの添付文章には、ジスルフィラム様作用が起こると書いてありました。実は、今回表に記載した、セフォペラジン、フラジールなどにも同じような記載がありました。
簡単にいうと、悪酔いしやすくなる作用のことを言います。
具体的に体に現れる症状は、
- 顔面の紅潮、赤くなる。
- 動悸、頻脈になる。
- 吐き気が起こる。
- 胸やけが起こる。
- 脱水症状が起こる。
- 血圧が低下する。
などです。
二日酔いの症状や悪酔いの症状と同じ症状が出ます。
なぜ、ジスルフィラム様作用が起こる?
簡単に言うと、アセトアルデヒドの代謝を邪魔して、血中のアセトアルデヒドの濃度が高くなってしまうからです。
アルコールは、化学式でいうとエタノールとなります。
エタノールの代謝、排泄の流れは、
となります。
この流れのなかで、抗生物質の一部がアセトアルデヒド → 酢酸に代謝するところが邪魔をしてしまい、アセトアルデヒドの濃度が高くなってしまうのです。
例えるならば、 アセトアルデヒドから酢酸に向かう道で交通事故が起こったようなものですね。先に進みたいのだけれどもこれ以上進めないから、 アセトアルデヒドが多くなってしまうんですね。
ちなみに、ジスルフィラムとは、嫌酒薬に使われる成分のことです。
ジスルフィラム(商品名:ノックビン)は、あえて悪酔いするような成分を体に入れることによって、アルコール依存症の治療に使われることがある薬です。
添付文書に記載が無いけども実際に起こる体調不良
薬の添付文章に記載がないけれども、実際に抗生物質とアルコールを一緒に服用すると体調を崩す方がいます。
これは、肝臓で薬の分解代謝が間に合わなくなってしまい、 体の中での薬の濃度が高まってしまうことによって起こる副作用だと考えられます。
- 薬は、肝臓で分解されます。
- アルコールも、肝臓で分解されます。
つまり、どちらの分解にも肝臓が関わっており、あまりに作業が多くて分解しきれないことが出てくるのです。
腹痛や吐き気、頭痛や肝障害など、色々な副作用が起こってもおかしくはないので、基本的にはどんな薬でもアルコールと一緒に飲んではいけないと思います。
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抗生物質とアルコールは、どのくらい時間をあけたら一緒に飲んで大丈夫?
ジスルフィラム様作用をもつ抗生物質
- セフメタゾール(商品名:セフメタゾン)
- セフォペラゾン(商品名:セフォペラジン、セフォビッド)
- セフメノキシム(商品名:ベストコール)
- ラタモキセフ(商品名:シオマリン)
- メトロニダゾール(商品名:フラジール)
投与期間中及び投与後少なくとも1週間は飲酒を避けさせること(「相互作用」の項参照)。
セフメタゾンの添付文章より
とある通り、薬を服用してから、最低1週間はお酒を飲んではダメとなります。
つまり、上記の5つの薬を飲んでいる期間中は、お酒を飲んではいけないということになります。
ジスルフィラム様作用をもたない抗生物質
最初に薬を飲んで、その後にお酒を飲むケース
抗生物質の種類にもよるので一概に言えないのですが、4時間程度空ければ服用は可能なのではと思います。
その根拠は、薬の代謝時間になります。
体の中で残っている薬の量が少なければ、アルコールとの相互作用は少なくなります。
例えば、フロモックスとクラビットで考えてみます。
フロモックスの例
フロモックスの添付文章より
フロモックスを飲んで体の中で一番濃度が高くなる時間は、服用してから1~2時間後で血中濃度がおよそ1.28ug/mlとなります。つまり、この時間にアルコールを摂取してしまうと、肝臓での分解の負担が多くなります。
4時間経つと、フロモックスの分解がだいぶ進み、血中濃度が0.4ug/mlと最高濃度から比べて1/4程度に減少します。
クラビットの例
クラビットの添付文章より
クラビットを飲んで体の中で一番濃度が高くなる時間は、服用してから1時間後で血中濃度がおよそ8.04ug/mlとなります。つまり、この時間にアルコールを摂取してしまうと、肝臓での分解の負担が多くなります。
4時間経つと、クラビットの分解がだいぶ進み、血中濃度が3.5ug/mlと最高濃度から比べて1/2程度に減少します。
どのくらい減少したら、安全という基準はないのですが、1~2時間後に合わせて飲むよりはまだいいという感覚だと思います。
最初にアルコールを飲んで、その後に薬を飲むケース
これは、飲むアルコールの量によって異なります。
例えば、体重60kgの人が350mlのビールを分解するのに必要な時間は、2時間20分必要とのことです。
もっと度数の高いものや量を飲むと、それ以上に分解する時間がかかりますので 、何時間あければ大丈夫と一概に言えるものではありません。
アルコールの分解時間に参考になりそうなサイトをのせておきますので、飲むお酒の種類と量、自分の体重を考慮の上で、考えてみて下さい。
【外部リンク】アルコールが体内から抜ける時間は? – 肝臓の基礎知識
お酒以外との抗生物質の飲み合わせ
牛乳によって、吸収が悪くなり抗菌効果が弱くなる抗生物質が知られています。
具体的には、テトラサイクリン系のミノマイシンや、ニューキノロン系の抗生物質です。
この種類の抗生物質を飲むときは、必ず水やぬるま湯で服用をしましょう。
【関連記事】テトラサイクリン系抗生物質の一覧 牛乳で飲むとどんな相互作用が起こる?
【関連記事】ニューキノロン系抗生物質の一覧 どんな病気のときに使われるの?
まとめ
- 抗生物質とお酒の飲み合わせが悪いのは、一部のセフェム系とフラジールという抗菌剤。
- 一緒に飲むと、顔の赤みや動悸、頭痛など悪酔いの症状が出やすくなる。
- 他の抗生物質も肝臓で代謝されにくくなり、腹痛や肝障害などの副作用がでることもある。
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