「マグミットとか、酸化マグネシウム剤の副作用が気になる。」
「高マグネシウム血症っていうけど、どんな症状が出るの?」
「マグラックスをどれくらいの量飲んだら危険なの?」
など色々と気になることがあると思います。
今回は、マグミットの副作用【高マグネシウム血症】についてまとめてみました。
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高マグネシウム血症とは?
高マグネシウム血症とは,血漿マグネシウム濃度が2.1mEq/L(1.05mmol/L)を上回ることである。主な原因は腎不全である。症状には,低血圧,呼吸抑制,心停止がある。診断は血漿マグネシウム濃度によって行う。治療にはグルコン酸カルシウムの静注があり,フロセミドを投与してもよい;重症例では血液透析が有用となる場合がある。
メルクマニュアル医学百科より一部引用
簡単にいうと、血液に含まれるマグネシウムというミネラルの濃度が、通常よりも高くなってしまう状態です。マグミットはもちろんのこと、他の酸化マグネシウム製剤を飲むことで起こることがあります。
通常のマグネシウムの血中濃度は1.4~2.1mEqの範囲になります。
1.4mEqよりも少ない量であれば、低マグネシウム血症となります。
2.1mEqよりも多い量であれば、高マグネシウム血症となります。
具体的に出る症状としては、
- だるさ
- 全身倦怠感
- 筋肉に力が入らない
- 筋肉が硬直して動かしにくい
- 心拍数の低下
- 血圧の低下
- 意識障害
- 吐き気
- 重症な場合は、呼吸抑制や心停止。
など、多岐にわたります。
このように色々な症状が出る理由は、マグネシウムが体の中でさまざまな働きを担っているからです。
マグネシウムの働きは、筋肉の動きを調節することや酵素の活性化を促進するなどが有名です。仮にマグネシウムが不足してしまうと筋肉が痙攣しやすくなったり、異常な動きをしたりします。
1日にどれくらいマグネシウムを服用すると危険なのか?
食事摂取基準では、通常の食品からのマグネシウム摂取量については耐容上限量を設定していませんが、医薬品 (制酸薬、緩下薬) やサプリメントなどを大量に摂取した場合、過剰摂取による消化器症状 (下痢) が起こる可能性があるため、通常の食品以外からの摂取量については耐容上限量 (成人350 mg/日、小児5 mg/kg体重/日) が設けられています。
「健康食品」の安全性・有効性情報より一部引用
つまり、わかりやすく書いてみると、
- 食品からの摂取では、マグネシウム量の制限はなし。
- 食品以外からの摂取では、成人1日当たり350mg程度。
ということです。
1日350mgでは、例えばマグミット錠500mg 錠を一回飲むとそれだけで制限にかかってしまいます。つまり、これは食品以外のサプリメント等の基準であって、医薬品には当てはまらないことがわかります。
医薬品での摂取基準はないのでしょうか?
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実際に高マグネシウム血症になった例
1日のマグネシウムの推奨量ではよくわからないので、実際に高マグネシウム血症になった例を調べてみました。
2人の患者さんが高マグネシウム血症になり、2008年の11月に注意喚起がされました。
- 80代の女性 認知症にかかっている方が1日に2.0gマグネシウムを服用
- 90代の女性 腎機能低下症の方が1日1.5gのマグネシウムを服用
2人とも服用するマグネシウムの量は特別多いわけではないのですが、高マグネシウム血症になってしまったようです。
これは、服用するマグネシウムの量が多いというよりも、マグネシウムを過剰に吸収したり、排泄が悪くなることで、体の中にたまってしまったのかなと思います。そうでなければ、もっと年齢が若い20代の患者さんが出てもおかしくはない訳です。
したがって、高齢で腎臓の機能が悪い方などは、マグネシウムの排泄が低下している場合があるため注意が必要です。
マグネシウム剤と牛乳の併用
通常、酸化マグネシウムは、胃や腸から、ほとんど吸収されず、ごくわずかに腎臓から吸収される物質です。
ただし、飲み合わせによって吸収量が増えることがあります。それは、カルシウムのサプリメントや大量の牛乳を飲む場合です。カルシウムとマグネシウムを一緒にとると、吸収が高まることが知られています。
- カルシウム:2
- マグネシウム:1
この割合で結合した鉱物をドロマイドと呼び、カルシウムのサプリメントとして売られています。
昔のCM で【カルニ、マグイッチ】というフレーズが使われていたのをご存知ですか?
確か、ビスケットだかウエハースにカルシウムとマグネシウムが含まれていて、それを食べるとカルシウムの吸収がよくなって、健康にいいよというCMです。食べ物のCMだから、ドロマイドとドロから始まる言葉よりも、【カルニ、マグイッチ】という方が響きがよくて、印象が深いということです。
これのネタを言うと、明らかに年齢がバレてしまいそうですが、とにかくカルシウムとマグネシウムを一緒にとると、栄養学的には良いのです。
現在、酸化マグネシウム剤を飲んでいる方は、
- カルシウムのサプリメントを1g以上摂取する。
- 毎日牛乳を1リットル以上飲む。
このぐらいの量のカルシウムを取るようであれば、高マグネシウム血症に注意が必要かなとも思います。
ただ、マグネシウムはストレスがないの日常生活で失われやすいミネラルであり、日本人が不足しがちなミネラルでもあります。通常量の酸化マグネシウムを服用しているだけでは、高マグネシウム血症にある方はごくわずかだと思います。
日本人の1日あたりマグネシウム摂取量を調べてみると、以下のようになります。
成人男性(30歳から49歳)
摂取量 | 推奨量 | 不足量 |
---|---|---|
255mg | 370mg | 115mg |
成人女性(30歳から49歳)
摂取量 | 推奨量 | 不足量 |
---|---|---|
255mg | 290mg | 65mg |
男女共にマグネシウムが不足していることがわかりました。
なので、普段より過剰摂取の心配をするよりも、不足しないように気を付けるミネラルということになります。
まとめ
- 高マグネシウム血症の症状は、だるさ、筋肉の硬直、心拍数の低下など多岐にわたる。
- 高マグネシウム血症になりやすい人は、高齢で腎機能が低下している人。
- カルシウムとマグネシウムを2:1の割合で同時に摂取すると、吸収率が高まる。
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