「風邪には、抗生物質は効かないって聞いたけど、ホント?」
「なぜ、お医者さんは風邪で抗生物質を出すの?」
「細菌性とウイルス性の風邪の違いって、どんな差があるの?」
など、色々な疑問があると思います。
今回は、風邪と抗生物質の処方、細菌性とウイルス性の違いについてまとめてみました。
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細菌性とウイルス性
風邪などの感染性の病気は、細菌かウイルスのいずれかが原因になります。
その確率としては、細菌性の場合が20%、ウイルス性の場合が80%程度です。
人に感染するものとしては、ウイルスの方が種類が多く感染する割合が高いです。
例 感染症の原因細菌
- ブドウ球菌
- 肺炎球菌
- 溶連菌
- 百日咳菌など
例 感染症の原因ウイルス
- アデノウイルス
- ライノウイルス
- コロナウイルス
- エコーウイルス
- ロタウイルス
- コクサッキーウイルス
- デングウイルス
- ヘルペスウイルス
- サイトメガロウイルスなど
抗生物質の有効性
抗生物質は、細菌に有効で、ウイルスには無効です。
ウイルスに有効なのは、抗生物質ではなく抗ウイルス薬になります。
細菌 | ウイルス | |
---|---|---|
抗生物質 | ○ | × |
抗ウイルス薬 | × | ○ |
例えば、溶連菌などの細菌感染症だなと思えば抗生物質で治療するということになります。
また、ライノウイルス、アデノウイルスが風邪の原因だなとなれば、抗生物質は処方しても意味がないとなります。
そして、抗ウイルス薬は一部のウイルスに対応した薬しかなく、ライノウイルス、アデノウイルスなど多くのウイルスに効く薬というのは、販売されていないのです。
では、どのようにして細菌とウイルスを見分けるのでしょうか?
細菌とウイルスの見分け方
感染症の疑いがある場合、採血や培養、あるいは検査キットを使うことで、細菌性かウイルス性かの区別をできることがあります。
そんな仰々しいことをしなくても、鼻水や咳、のどの痛みなどの症状だけでわからないの?と思う人もいるかもしれません。でも、それはとても難しいことなんです。
その理由は、どちらも同じような症状が出るので、区別が困難だから。
細菌性はこの症状しか出ませんとか、ウイルス性特有の症状はこれというのがないんです。
採血
血液中の白血球の数を見ることで、増加していれば細菌性、減少していればウイルス性と予測できます。
- 白血球数の増加 → 細菌性
- 白血球数の減少 → ウイルス性
あるいは、特定の病原体に対する抗体の有無、数を調べることでもわかります。
採血の問題点
- 採血のときに痛い。採血が嫌な人もいる。
- 白血球数だけでは、細菌性かウイルス性か確定できない。
- すべての抗体を調べられる訳ではない。
培養
患者のタン、鼻水などを採取して、その中にいる細菌を増やして観察します。
培養の問題点
- 判断するまでに細菌が増えることが必要なので、時間がかかる。
- 時間が経った後にわかっても、今の症状ではまた違う病原体が増えている可能性がある。
- ウイルスを判断するには、それを感染させる細胞を常に用意しておく必要があり、現実的でない。
検査キット
ある菌やウイルスだけわかる検査キットが使われることもあります。
例えば、インフルエンザウイルスやマイコプラズマの検査キットなどがあります。
検査キットの問題点
- 特定のウイルスを検査するものなので、陰性の場合は複数回行う必要があり費用がかかる。
- すべての感染症に対するキットが開発されているわけではない。
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抗生物質を処方する理由
治療のため
風邪の症状だけで、細菌性かウイルス性かを見分けるのは困難です。
しかし、明らかに高熱があり、このまま治療しなければ経過が良くないと思うときに、細菌性かウイルス性かの区別を行うことなく抗生物質を処方します。
細菌性ならば、抗生物質が効いて症状が良くなります。
ウイルス性でも、細菌性とウイルス性のどちらも入り混じったケースがあるため、症状が改善します。
病院の評判のため
先ほど細菌性とウイルス性の区別には、採血、培養、検査キットなどが必要と説明しました。
実際に臨床の場ですべて行うとすると、どんな問題が起こるでしょうか?
病院側の理由
- 「抗生物質の選択のために、毎回血液検査が必要です。」
- 「細菌培養に時間がかかるので、7日後にまた病院に来てください。そのときまで抗生物質は出しません。」
- 「費用はかかりますが、検査キットで検査しましょう。ただ、それで原因が特定できるかはわかりません。」
患者側の実感
- なぜ、風邪だけで毎回血液検査が必要なの?痛いから嫌だ。
- 問診だけでしっかり症状を見極めてほしい。検査ばっかりで費用が高くて嫌になる。
- なんで、あんなに時間がかかるんだろ?面倒だから他の病院へ行こう。
と、あまり良くない評判が立ってしまうかもしれません。
正確に抗生物質を使おうとすればするほど、患者側にとっては負担となってしまい、病院の評判の悪化につながる可能性があります。
したがって、ある程度の必要性があれば、抗生物質を処方するのです。
患者が抗生物質を求めるため
【抗生物質を飲まなければ風邪は治らない】と信じ込んでいる人がいます。
このような人は、軽微な症状でも病院に行く度に抗生物質を下さいとお願いをします。
抗生物質が処方されなければ、他の病院へ行って同じことを繰り返すでしょう。
抗生物質を出さずに、診察のときに説得すればいいのではないかと思いますが、とても難しいことです。病気の専門家である医師や医療関係者の話には耳を貸さず、自分が正しいとなぜか信じ込んでいます。
どうしても説得できずに、抗生物質が処方されることがあります。
安易な抗生物質の処方をさけるため、自分にできることはないのか?
抗生物質の適切な使用のために、どんなことが自分にできるでしょうか?
それは、医師の立場に立って考えてみたら答えが出るかもしれません。
治療計画について話し合う。
例えば、風邪で内科にかかったとします。
次に病院に来れる日付や都合について話すと、それに応じた治療に変わることがあります。
自分から「病院に来る回数が増えてもいいから、抗生物質の処方は少なくして欲しい。」と伝えたとします。
そうすると、医師は「セキや鼻水の症状を抑える薬を2,3日出して、様子を見よう。抗生物質の必要性は、またその症状に応じて検討しよう。」
と治療計画を変更する場合があります。
自分の生活習慣を見直す
実は、感染症を治療できるのは抗生物質だけではありません。
実は人の体の中には、生まれつき感染症を治す力が備わっているのです。
それは、【免疫力】です。
免疫の力が高いと、そもそも病気にかかりませんし、かかったとしてもすぐに治ってしまいます。
不摂生な昼夜逆転の生活や、インスタント食品を中心とした食事、深夜まで起きているための睡眠不足などは、免疫力の低下につながり、感染症を長引かせてしまいます。
風邪などの感染症にかかったときこそ、今の生活習慣では免疫力が低下してしまうのだなと、見直すきっかけにしましょう。
まとめ
- 細菌性とウイルス性の風邪を見分けるのは難しく、時間と費用がかかる。
- 病院の評判や患者が抗生物質を求めるため、安易な抗生物質の使用につながることがある。
- 生活習慣を見直すことで、免疫力を高めて感染症にかかりにくくなる。
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