「溶連菌ですね。抗生物質を出して起きますから。」
「今、抗生物質を飲んでいるけど、溶連菌にも効くのかな?」
「溶連菌感染症に有効な抗生物質を知りたい。」
など、色々な疑問があると思います。
今回は、溶連菌と抗生物質についてまとめてみました。
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溶連菌とは?
溶連菌は、グラム陽性のレンサ球菌です。
レンサ球菌とは、菌が増える時に連なった球菌に見えることから、連鎖球菌と呼ばれます。
抗生物質の種類を見極めるには、まずは相手のことをよく知らなければいけません。
グラム陽性ということは、細胞壁を持つ細菌ということになりますね。
細胞壁をもつので、ペニシリン系抗生物質やセフェム系抗生物質が有効となります。
溶連菌に使われる抗生物質
ペニシリン系抗生物質
アモキシシリン(商品名:サワシリン、パセトシン)を10日間服用。
基本的に、ペニシリン系抗生物質が第一選択薬になります。
その理由は、ペニシリンで十分な治療効果が期待できるから。
基本的には、臨床的な有効性としては、明らかな溶連菌感染症があった場合に、両者に大きな差はありません。どちらを使っても、よく治ります。典型的な溶連菌感染症の場合は、ペニシリン系の有効性は90%以上、セファロスポリン系も90%以上、もしかすると95%以上になると思います。
まずは、ペニシリン系で様子をみるといったところでしょうか。
そして、溶連菌がペニシリン系の抗生物質に対して、耐性もった菌が検出されてないことも、ファーストチョイスとなる後押しになっているようです。
セフェム系抗生物質
- セフカペンピボキシル塩酸塩(商品名:フロモックス)
- セフジトレンピボキシル(商品名:メイアクト)
- セフテラムピボキシル(商品名:トミロン)
- セフジニル(商品名:セフゾン)
のいずれかを5日間服用します。
セフェム系の抗生物質も、小児呼吸器感染症ガイドラインで推奨されているものです。
ペニシリン系と比べると、服用する日数が5日間で同等の効果が期待できます。
10日間服用しなくていいのは、気が楽だと思います。
セフェム系の服用期間が5日間と短いのは、セフェム系はペニシリン系と比べて除菌率と臨床効果が優れていたことを考慮してだそうです。
マクロライド系抗生物質
- クラリスロマイシン(商品名:クラリス、クラリシッド)
- エリスロマイシン(商品名:エリスロシン)
- アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)
クラリスロマイシンとエリスロマイシンは、10日間服用。
アジスロマイシンは、3日間服用。
マクロライド系は、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質にアレルギーをもつ患者さんに使われることがあります。
しかし、マクロライド系の抗生物質は、抗菌効果が静菌的であることや、溶連菌がマクロライド系に耐性を持っていることが少なくないため、使用する際は見極めが大切になってきます。
ニューキノロン系抗生物質
- トスフロキサシン(商品名:オゼックス、トスキサシン)
- レボフロキサシン(商品名:クラビット)
- ガレノキサシン(商品名:ジェニナック)
テトラサイクリン系抗生物質
- ミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)
溶連菌の治療ガイドラインから外れますが、ニューキノロン系やテトラサイクリン系の抗生物質が使われることもあります。
これは、ペニシリン系やセフェム系抗生物質に対してアレルギーがある場合や、溶連菌の治療で抗生物質を服用しているのにも関わらず、症状が悪化した場合などです。
抗生物質の種類を変更することで、細菌に対しての作用点が異なるので、さらなる治療効果が期待できます。
このようにいくつか抗生物質を示してきましたが、実際の現場の医師の判断で、日数が変わったり、他の薬が使われることも十分にありえます。
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なぜ、10日間も抗生物質を飲まなくてはいけないのか?
抗生物質って、元々そんなに長い期間飲む薬ではありませんよね。
耐性菌が発現しないように、効果が期待できる最低期間をしっかりと服用するのが基本的な考え方になります。
アモキシシリンを10日間を飲まないといけないのは、溶連菌特有の事情からです。
溶連菌感染症は、まず咽頭炎などの最初の症状が起きます。
そして、体の免疫反応の関係で、人によってはリウマチ熱や急性糸球体腎炎と怖い病気になるリスクがあります。
急性糸球体腎炎とは
腎臓の組織の一部である『糸球体』に炎症が起こる病気です。
糸球体の働きは、腎臓において血液のフィルターの役目をしています。
タンパク質や赤血球などの体に必要な物質は尿に行かないようにして、老廃物や小さい物質などを尿に移行するようにします。
炎症が起きてしまうということは、言わばフィルターが目詰まりを起こした状態になります。
そうなると、老廃物が尿に移行しなくなり血液から尿をつくる働きが低下。そのうちに腎臓が全く機能しなくなる腎不全に至る可能性もあります。
そのように、急性糸球体腎炎になることを防ぐために、アモキシシリンは投与日数が10日間になったと考えられます。
まとめ
- 溶連菌はグラム陽性菌で細胞壁をもつので、ペニシリン系、セフェム系抗生物質が有効。
- 溶連菌は、人によっては急性糸球体腎炎という怖い病気に発展することもある。
- 溶連菌には、マクロライド系抗生物質、ニューキノロン系抗生物質も有効。
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