昔と今の抗生物質の違い 抗菌スペクトルはどのように変わってきたのか。

昔と今の抗生物質の違い1

「昔の抗生物質と今の抗生物質って何が違うの?」

「やっぱり、最近の抗生物質の方が効き目が強いの?」

「抗生物質ってどんなふうに変化してきているの?」

など、色々と知りたいことがあると思います。

今回は、昔と今の抗生物質の違い 抗菌スペクトルはどのように変わってきたのかについてまとめてみました。

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私の結論

今の抗生物質の方が、抗菌スペクトルが広く、数多くの細菌に対して抗菌効果を発揮するようになった。特にペニシリン系ニューキノロン系の抗生物質にその傾向がみられる。

しかし、特定の細菌には昔の抗生物質のみ抗菌力を発揮するため今だに使われる。

抗菌スペクトルの広さとは?

抗菌スペクトル表3

抗菌スペクトル表とは、抗生物質と病原菌の相性を示した表のことです。

縦の抗生物質と横の細菌が交わる場所を見て「〇」の表記があれば、基本的にはその抗生物質は細菌に有効ということになります。抗生物質によって、抗菌作用を発揮しやすい細菌やいまいち効果が出にくい物などに分かれます。

抗生物質が、多くの細菌に効果が期待できる場合(〇の表記が多いとき)、その抗生物質は抗菌スペクトルが広いと表現されます。

またその逆で、抗生物質が少しの細菌にしか効果が期待できない場合(〇の表記が少ないとき)、その抗生物質は抗菌スペクトルが狭いと表現されます。

【関連記事】抗生物質の選択基準 医師なら必ず知っている抗菌スペクトルとは?

ペニシリン系抗生物質 昔と今の違い

昔のペニシリン系抗生物質は、主にグラム陽性菌に対して抗菌力を発揮していました。

それに対して、今のペニシリン系抗生物質はグラム陽性菌・陰性菌共に効果を発揮するように進化してきました。

【関連記事】グラム陽性菌と陰性菌の違いは何? 

言葉ではわかりにくいので、図にしてみてみましょう。

ペニシリン系 抗菌スペクトル3

表を見てみると、昔の薬のペニシリンG はグラム陽性菌の項目に〇が多く付いており、グラム陰性菌の部分にはあまり〇がついていないことがわかります。

それに対して今の薬のゾシンは、グラム陰性菌の部分にも〇の部分が増えました。抗菌スペクトルが広くなったのです。

これを無理やりピアノの鍵盤で例えてみましょう。

ペニリシン系 抗菌スペクトル1

グラム陽性菌の部分をピアノの鍵盤の左側とします。

グラム陰性菌の部分をピアノの鍵盤の右側とします。

ペニシリン系抗生物質の進化は、ピアノの鍵盤の左側(低い音)から右側へ(高い音)
指を動かすようなこと
なのです。

ペニリシン系 抗菌スペクトル2

初めは鍵盤の左側の音だけだったのが、だんだんと鍵盤の右側の音も出るようになった感じです。

イメージとしては、音域の広がり=抗菌スペクトルの広がりということです。

この例えをしたのは、日本中で私だけだと思います(笑)

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ニューキノロン系抗生物質 今と昔の違い

ニューキノロン系抗生物質はペニシリン系と全く逆の進化をしてきました。

昔のニューキノロン系抗生物質は、グラム陰性菌に対してのみ抗菌力を発揮します。

それに対して今のニューキノロン系抗生物質は、グラム陽性菌・陰性菌共に抗菌力を発揮します。

抗菌スペクトルの表で、ニューキノロン系の所を抜粋してみると…。

ニューキノロン系 抗生物質 抗菌スペクトル2

表を見てみると、オールドキノロンであるウィンドマイロンは、グラム陰性菌の項目にのみ〇がついていますよね。

それに対して、最近のニューキノロンの薬クラビットやジェニナックなどは、グラム陽性菌・陰性菌共に〇の項目が増えました。

ピアノの例えをすると、

ニューキノロン系 抗菌スペクトル2

ニューキノロン系系抗生物質の進化は、ピアノの鍵盤の右側(高い音)から左側(低い音)へ指を動かすようなことなのです。

つまり、抗生物質は全般的に昔と比べて今の方が抗菌スペクトルが広くなるように開発されてきた傾向があります。一つの薬が多くの細菌に効くようになれば利便性が高くなるため、他の種類の抗生物質なども同じような傾向があります。

昔の抗生物質は、もう意味がないの?

ここまで記事を読んで頂いた方は、

  • 「昔の抗生物質ってもう意味ないじゃん」
  • 「今の抗生物質の方が抗菌スペクトルが広いから、そっちだけで良いのでは?」

と思うかもしれません。

でも昔の抗生物質は未だに処方されることがあり、一定の意味を持っています。

例えば、ジフテリア菌の感染症にかかった場合を考えてみましょう。

治療のために抗生物質は、どれを使ったらよいのでしょうか?

ジフテリア菌 抗菌スペクトル1

抗菌スペクトルの表を見ると、古いペニシリン系抗生物質のペニシリンGしか〇がありません。したがって、ペニシリンGが使われることがあります。

なぜ、ペニシリンG だけがジフテリア菌の項目で〇になるのでしょうか?他の抗生物質もジフテリア菌に対しても有効性があっても良いのではないかと思うかもしれません。

その答えは、ペニシリンGが発見されたときに元々そういう抗菌力を持っていたからとしか言いようがありません。他の抗生物質が、グラム陽性菌にまで抗菌スペクトルを広げたとしても、古典的なペニシリン系抗生物質の抗菌力にかなわないことがあります。

要は、「餅は餅屋」みたいなものなのかなと思います。

例えば、八百屋とスーパーマーケットで表現してみましょう。

元々野菜を専門的に扱っている昔ながらの八百屋さんと、野菜以外にもまとめて他の食料も買える近代的なスーパーマーケットがあるとします。

野菜はスーパーマーケットでも買えますが、どうしても八百屋さんでしか手に入らない野菜、鮮度の高い野菜があるかもしれません。あまりうまい例えではないかもしれませんが、そういうことを言いたいのです。

ピアノの例えで言うなら、同じ音は出るけど音の強さ(大きさ)が弱いのです。

古典的なペニシリン系 ドドドド…
新しいペニシリン系 ドドドド…

この考え方はペニシリン系だけでなく、ニューキノロン系にも当てはまります。オールドキノロンのウインドマイロンなどは、未だに大腸菌への抗菌力が強いです。

このように、抗菌スペクトルが狭い抗生物質でも、その抗生物質でなければ治療できない例というのはいくつか存在するため、今も処方が続けられているのです。

まとめ

  • 抗生物質は、抗菌スペクトルが広くなるように進化してきた。
  • 今の抗生物質の方が、抗菌スペクトルが広いものが多い。
  • ただ、昔の抗生物質しか抗菌力を示さない場合もあるため、今も使われている。

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