細菌の種類には、グラム陽性菌とグラム陰性菌があります。
さらに、球菌(きゅうきん)と桿菌(かんきん)という分け方もあります。
巷でよく耳にする病原菌が、細菌の分類ではどれかに分類されます。
違いをまとめてみました。
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グラム陽性とグラム陰性の意味とは?
グラムって言葉の響きだけを聞くと、
「それは、細菌の重さが関係してるんでしょ?」とか
「ある一定の重さを超えたら、グラム陽性。それより軽いのは陰性。」とか
色々と想像してしまいますね。
正しくは、『グラム染色』という細菌を染める方法で、染色されるものが『グラム陽性』、染色されないものが『グラム陰性』となります。
↓
グラム陽性菌は濃紫色、グラム陰性菌は赤色に染まって見える。
グラム染色とは、文字通りグラムさんが考案した染色方法です。
グラム染色の意義
現在でもこの方法が用いられる理由は、細菌が『細胞壁』を持つか持たないかがわかるから。
抗生物質の中には、特定の細胞壁をターゲットに抗菌作用を発揮するものがあります。
具体的には、ペニシリン系とセフェム系の抗生物質。
細胞壁を持たない細菌 → グラム陰性菌にその種類の抗生物質を投与しても、全く殺菌効果が発揮できずに無効となります。
なので、その区別をするために、グラム染色は大事になります。
2018/1/19 訂正
この記事を見た方から、「グラム陰性菌は細胞壁をもっています。」とご指摘を受けました。
指摘の通り、グラム陰性菌も細胞壁をもつようです。
ただ、細胞壁の構造がグラム陽性菌と異なるため、グラム陰性菌はグラム染色をされないということになります。
私の勉強不足により、不十分な内容を載せてしまい申し訳ありませんでした。
グラム陽性と陰性の違い
グラム陽性と陰性の違いは、細菌が細胞壁をもっているかです。 → 細菌の細胞壁の構造の違いになります。
グラム陽性菌は、細胞膜とその外側に細胞壁があります。
グラム陰性菌は、細胞膜のみで、細胞壁はもちません。 → 細胞壁は、もちますが、その構造が違います。
グラム染色すると、グラム陽性菌では細胞膜と細胞壁に挟まれた部分に染料が多くたまります。その結果、グラム陽性菌は濃い紫色に染まって見えます。グラム陰性菌は赤色に染まって見えます。
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グラム陽性菌と病気
グラム陽性菌は、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌などがいます。
これらの菌が引き起こす病気には、
- 伝染性膿痂疹(とびひ)
- 化膿性感染症(おでき等)
- 上気道炎(かぜ症候群)
- 急性中耳炎
- 副鼻腔炎
- 食中毒
- 溶連菌感染症
- 咽頭炎
- 猩紅熱(しょうこうねつ)
- 肺炎
- 細菌性髄膜炎
- 手術後の感染症
など、幅広い病気があります。
グラム陰性菌と病気
グラム陰性菌は、プロテウス菌、大腸菌、肺炎桿菌、インフルエンザ桿菌、エンテロバクター、モラキセラ・カタラーシス、セラチア、シュードモナス、アシネトバクター、シトロバクターなど多数がいます。
これらの菌が引き起こす病気には、
- 膀胱炎
- 尿路感染症
- 腎盂腎炎
- 上気道炎(かぜ症候群)
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
- 心臓内膜炎
- 院内感染
- 日和見感染
などがあります。
球菌と桿菌の違い
これは単純に見た目の問題です。
球菌とは、文字通り見た目が球のように丸いもの。
桿菌とは、見た目が細長い棒状のものです。
ところで、ヘリコバクター・ピロリという胃の中に住み着いて、胃潰瘍などの原因となる菌がいますが、それも桿菌の仲間で『らせん菌』と呼ばれます。
桿菌はただの棒状ですが、ピロリ菌はそれにねじれがかかっていて、プロペラの様になっています。実は、ヘリコバクターの『ヘリコ』と、ヘリコプターの『ヘリコ』は、同じ意味です。『ヘリコ』とはラテン語でねじれの意味なんです。
まとめ
- グラム陽性と陰性の違いは、グラム染色での区別から。
- グラム染色をすると、細胞壁の
有無がわかる。→ 構造造の違いがわかる。 - 球菌と桿菌は見た目のこと。球の様に丸いのは球菌。細長いのは桿菌。
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