薬の添付文章とは、ただの資料ではなくて、医療のプロ御用達の情報源だった。

添付文章とは

「インターネットで正しい薬の情報を得るには、どうしたら良いの?」

「薬の名前で検索したら添付文章が出てきたけど、これって何?」

「管理人さんは、正確な薬の情報をどこで仕入れているの?」

など、色々と知りたいことがあると思います。

今回は、薬の正確な情報の宝庫【添付文書】との付き合い方について、まとめてみました。

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添付文書とは?

添付文書(てんぷぶんしょ、英: Package insert)は、医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品において、警告や使用上の注意、品目仕様、その他の重要事項を記載した、医薬品の使用者や医師、薬剤師向けの製品情報を記載した書面である。日本の添付文書は、薬機法に基づいて作成される公文書である。薬剤師の業務においては、医薬品インタビューフォームと共に常備すべきである。また同法によって、添付文書は電子化され公開されなければならないことが定められている。添付文書における副作用の発生率の記載は、治験の条件においてのことであり、実際の臨床では、服用量や併用薬や既往歴、また期間といった条件によって異なってくる。日本の最高裁判決は、医師が添付文書の注意に合理的な理由なく従わず発生した事故について、過失を推定している。

wikipediaより引用

【添付文章】って名前だけみると、薬に添付された文章で特別な意味をもたない文章と思うかもしれませんね。でも、実際は違うんです。

薬の販売メーカーが臨床試験などのデータをまとめて、医師や薬剤師など専門家に向けた文章なんです。添付文章では、様々な内容が記載されています。

具体的には、

  • 薬の販売名
  • 薬の一般名(有効成分)
  • 薬に含まれている添加物
  • 薬の飲み方
  • 薬の飲む量
  • 薬はどの病気に使われるのか。
  • 使用上の注意
  • 薬を基本的には使ってはダメな場合
  • 他の薬との飲み合わせ
  • 他の飲食物との飲み合わせ
  • 副作用
  • お年寄りへの投与量
  • 子供に対しての投与量
  • 妊婦への投与可否
  • 授乳時の投与可否
  • 薬の吸収される時間
  • 薬の排泄

などです。

薬を使う上での基本的な注意が示されているものになります。

あくまでも一般の方向けではないことに、注意が必要です。

添付文章は、なぜ一般の人が読んではいけないのか?

添付文章は、薬の販売メーカーが薬の専門家向けに情報提供のために作成しているものです。なぜ一般の人が読んではいけないとされているのでしょうか?

その理由は、専門家と一般の方では情報の解釈の仕方の違うからです。場合によっては、自己判断で治療のために必要な薬の服用を止めてしまい、病気が悪化してしまうこともあります。

少し前に、ロキソニンの添付文章で重大な副作用の一部が改定されて、一般の方の中にロキソニンを服用するのに抵抗を覚えたというニュースがありました。その例を挙げて説明してみましょう。

ロキソニンの重大な副作用の検証

小腸・大腸の狭窄・閉塞

(頻度不明)

小腸・大腸の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

ロキソニンの添付文書より引用

2016年3月22日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構が、ロキソニンの重大な副作用に「小腸・大腸の狭窄、閉塞」を追記、改定するよう指示を出しました。

このニュースをネットメディアや個人のブログがこぞって取り上げて、ロキソニンには知られざる副作用があったとか、ロキソニンには重大な副作用があって危険などと騒ぎ立てました。

でも、これって本当に危険なのでしょうか?

私なりに検証してみました。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の報告書によると、過去3年度における国内副作用症例のうち、小腸・大腸の狭窄・閉塞関連症例が6例報告されており、そのうち因果関係が否定できないものが5例であった(死亡例はなし)。今回の改訂は、この結果を受けたものである。

ヘルプレより一部引用

上記のヘルプレが記載している厚生労働省や医薬品医療機器総合機構の報告書というのが、私自身では検索しきれなかったのですが、3年間で大腸狭窄関連が6例あって、因果関係が否定できないものが5例を正しいとして考えてみましょう。

ロキソニンを服用している推定患者数(延べ人数)は、年間4500万人~4900万人とされています。約5000万人ぐらいですね。

この数値の根拠は、厚生労働省の【平成26年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料】に記載されていたものです。

どのくらいの確率で起こるかを求めてみると、

  • 小腸や大腸狭窄が起こる確率は、1年間当たりに直すと2人。
  • ロキソニンを服用している患者数は、5000万人。

大雑把な計算をすると2500万人に1人の割合で、ロキソニンの重大な副作用である小腸・大腸の狭窄が起こるリスクがあります。

ちなみに、宝くじに当たる確率は、1,000万分の1(1ユニットに1つ)とされています。

こう考えると、ロキソニンで腸閉塞を起こす確率がどれほど少ないかが分かると思います。

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添付文章の正しい読み方とは?

上記のロキソニンの例では、医師や薬剤師などの専門家は冷静に情報を受け止めましたが、一般の方の中には不安を煽られて、ロキソニンの服用をやめてしまわれた方もいるかもしれません。

この差は、どこからくるのでしょうか?

それは、薬の使用経験や普段薬に接する機会が多いか少ないかによる違いが大きいと思います。

ロキソニンを処方する医師や調剤する薬剤師は、毎日毎日ロキソニンを手に取って、ロキソニンの服用の仕方、ロキソニンの作用について患者さんと直接話す機会が多いです。仕事中に色々な副作用などを耳にする機会も多いでしょう。

その中の経験から、胃の痛みや腹部の違和感などの副作用は多くても、腸閉塞という副作用の起こる頻度は、あまり多くないということが感覚的にわかります。したがって、新たな情報が文章で出てきても、自分の経験と照らし合わせてそれがどの程度重要性が高いか判断することができるのです。

一般の方は、それを行うことができないのです。

なので、添付文書上に重大な副作用の記載があれば、必要以上に恐怖を感じてしまい、薬の服用を中断し、治療ができないという自体になり得るのです。

専門家と一般の人の違いを別の例で例えてみましょう。

車というものを知らない人に、車に乗るリスクや危険について文章で情報提供するとしたら、どうなるでしょうか?

車を知っている人が説明するなら、

  • 車はスピードを出しすぎると、ぶつかることがあるから危険。
  • シートベルトをしていると、万一事故にあっても軽症で済むことがあるよ。
  • ガソリンがなくなると、車が動かなくなるよ。

など簡単に説明すると思います。

でも、もしすべての事柄を詳しく説明したらどうなるでしょうか?

  • 車のタイヤは空気が入ってないと、適切に操縦できなくなるよ。
  • 車のドアに手を挟むかもしれないよ。
  • 駐車場に止めた隣の車が、ドアをぶつけてくるかもしれないよ。
  • 自分は悪くないのに、他の車からぶつけられることもあるよ。
  • 雪道ではタイヤを取られて、車を上手く運転できないこともあるよ。
  • 山道では、イノシシが出てきて車にぶつかるかもしれないよ。
  • 崖の上から岩が落ちてきて、車が潰されるかもしれないよ。

などなど、普段車を運転していてあまり出くわさないような出来事も事細かに記載することになるでしょう。

車を運転している経験がある人は、イノシシが出てきて車にぶつかるリスクというのはあまり高いものではないことが分かるとは思います。

しかし、全く車というものを知らない人が、この文章を読んだらどう思うでしょうか?

「イノシシがぶつかるなんて、とても怖い。車になんか乗りたくない。」

このように思うケースもあるかもしれません。

経験があるかないかというのは、こんな感じです。なので、添付文書上に重大な副作用という記載があったとしても、過剰に恐れる必要はありません。

専門家の意見を聞いて、適切な知識を持って、適切に恐れるというのが大切なのです。

まとめ

  • 添付文章とは、薬のメーカーが作った薬の情報。
  • 添付文章の一部の情報を、過剰に注目して報道されることがある。
  • 薬と接する機会が多い専門家の経験も合わせて考えることが大切。

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